クライミングの名所・埼玉県小鹿野町の二子山で、
2022年に滑落事故で骨折した東京都内の男性が、
岩場の整備を担当していた
小鹿野クライミング協会と町を相手に
慰謝料請求の訴訟を起こしたことがわかりました。
協会と町は争う姿勢で、注目が集まっています。
滑落した男性は誰なのでしょうか。
協会の責任があるのかについても調査しました。
【事故概要】二子山クライミングで59歳男性が重傷

事故があったのは、
2022年9月25日
場所は、
埼玉県小鹿野町の
二子山(フタゴヤマ)ロウソク岩「黄昏を追いかけて」
1166メートル
です。
体を支えるためにロープをかけていた岩場のボルトが岩ごと外れ、
東京都内の男性(当時59歳)が、
約5メートル下に落下。
両足を骨折する重傷を負いました。
男性はこの事故で3回手術し、
55日間入院、退院後も2カ月通院したと言います。
男性は、
「岩場の管理が適切でなかった」
などとして、
岩場を整備する
- 小鹿野クライミング協会
- 町
を相手取り、
慰謝料など165万円の支払いを求める訴訟を起こしました。

協会などは全面的に争っているようです。
町を訴えた男性は誰?

町を訴えた男性の名前や顔画像は公開されていません。
報道によると、
・男性
・東京都在住
・当時59歳(2023年現在60)
・クライミング歴30年のベテラン
とのことで、高齢ながらクライミングを趣味としている
アクティブな男性だとわかります。

30年というベテランであっても、
このような事故が起きるものなのですね。
自然相手のアクティビティはやはり危険がつきものです。
協会や町の責任はある?

事故が起きた岩場を整備していたのは、
小鹿野クライミング協会
です。

2020年10月に設立され、
会長は世界的クライマーの
平山ユージさん(54)が務めています。

町はクライミングによるまちおこしを推進し、
平山さんに観光大使を委嘱していました。
今回、
男性の主張と、町や協会の主張は対抗しています。
男性の主張は、
・「協会が事故の起きたルートを開設し、ボルトを設置した」
・「埋設されたボルトの位置や種類が不適切」
・二子山のクライミングルートの開拓や再生を行う協会は、事故が起きたルートについても安全性を保つ管理義務や注意義務を負っていた
・町も協会の活動に関与している
とのことで、
町にも協会にも責任があるとしています。
一方、協会と町の主張は、
・「クライミングは危険を伴うスポーツ。事故は自己責任」
・「二子山でのクライミングは、まちおこしの事業ではない」
・「町は協会とは関係ない」
と、責任を否定しています。
しかし、協会発足の経緯などを考えると、
「クライミングはまちおこし事業では?」
と疑問の声があがっています。

しかし、森町長は広報誌で、
「クライミングによるまちおこし」を新規事業に挙げ、
県から無償譲渡された中国との友好記念館
「神怡(しんい)館」を拠点施設として、
平山さんらの協力を得て再整備するとも書かれていました。
町のある関係者の話では、
「平山さん側には神怡館の運営協力への報酬が払われており、町は協会と関係ないとまで言い切れないのではないか」
引用:毎日新聞
とのことで、
クライミングは明らかにまちおこしの一環として
行われていたといえるでしょう。
ただ、今回の事故に関しては
やはり自然相手ということで、
自己責任ではないかとの意見も多いです。



争う姿勢を見せている両者ですから、
和解ではなく裁判になる可能性が高そうです。