元陸上自衛隊の五ノ井里奈(ごのい・りな)さんが、セクハラ被害に遭い退職したことをYouTubeで暴露し話題となっています。
大きな夢を持って自衛隊に入隊したのに、男性隊員の私利私欲を満たすための身勝手なセクハラによって一人の女性の夢が絶たれてしまいました。
なぜこのようなセクハラ被害が起きたのか。
セクハラがあったのはどこの駐屯地で、セクハラしたのは誰なのか解説していきます。
実名・顔出しでセクハラ被害を訴え

今回、セクハラ被害を告白したのは、元女性自衛官の五ノ井里奈(ごのい・りな)さん(22歳)です。
五ノ井さんは、陸上自衛隊に所属していた2021年6月~8月にかけて、複数の上官から集団でセクハラを受けました。
上長に被害を訴えても取り合ってもらえず、自衛隊内の捜査機関に被害届を出しても、
検察からは不起訴とされました。
その後、検察審査会に不服申し立てを行っている状態です。
このまま、組織内でこのセクハラ事件は隠蔽されてしまうのでしょうか。
五ノ井さんが受けたセクハラ被害詳細

五ノ井さんが陸上自衛隊に入隊したのは、2020年4月(当時20歳)。
大きな夢を持って入隊した五ノ井さんですが、所属された中隊はセクハラとパワハラがひどいことで有名だったそう。
五ノ井さんが配属された東北方面の中隊は、隊員58人中で女性が5人。
「セクハラは覚悟して」
と他の女性隊員からも言われていました。
そして実際に受けたセクハラの詳細がこちらです。(同日ではないものもあります)
- 新人の五ノ井さんが酒盛りや食事の準備をしているとそこに男性隊員が入ってくる
- 『柔道しようぜ!』『首キメよう』などと言いながら技をかけてくる
- テント内に入れ替わり立ち替わり複数の男性が入ってきて胸をもまれ、キスをされ、男性隊員の陰部を下着越しに触らせられる
- 股を無理やりこじ開け、腰を振りながら陰部を押し当てる
- 一人で『あんあん』とあえぎ声を出して、それを見ている周りの男性隊員たちは笑う
- それを何人もの隊員が繰り返す
セクハラを超えた犯罪行為に耐えきれず、五ノ井さんは訓練期間を途中で抜けたといいます。
こうしたセクハラはこの日に限らず日常的に行われていました。
先輩の元女性隊員も日常的にセクハラ被害に遭っていたそうですが、保身のためにも助けに来てくることはなかったそうです。
そのため女性隊員は泣き寝入りするしかなかったようです。
口裏合わせて事件隠蔽
この件について、自衛隊の犯罪捜査に携わる警務隊に「強制わいせつ事件」として被害届を提出しましたが不起訴とされました。

男性隊員たちは、
「首をきめてはいたけどセクハラ行為はなかった」
と証言しているといいます。
おそらくその場にいた全員で口裏を合わせているのでしょう。
また、この縦の組織では上司の命令は絶対ですから、上に言うなと言われたら言えないという圧力もあるのでしょうね。
セクハラがあったのはどこの駐屯地?
今回、五ノ井さんが被害にあったのはどこの自衛隊駐屯地なのでしょうか。
ピンポイントではわかりませんが、五ノ井さんは東北方面の中隊に所属していました。
陸上自衛隊の駐屯地は東北方面には14ありますからこの中のどこかということになります。


後の報道で、2020年9月に福島県の郡山駐屯地に配属されて以降セクハラにあっていたとありますから、
郡山駐屯地
だと判明しました。
セクハラをした男性上司の名前は?
今回五ノ井さんが辞めるきっかけになったのは、3人の隊員から入れ替わり立ち替わり首をキメるという建前で腰を振られたことです。
その3人について本名は公表されていません。
なぜなら、五ノ井さんは加害者個人を特定して責めたいわけではなくこうした被害が二度と起こらないように組織を変えてほしいという思いで告白をされているためです。
ただ、イニシャルは公表しているのでご紹介します。
中隊でセクハラの中心人物となっていた男性上司のイニシャルは、
- 一曹E
- 二曹Y
- S三曹
です。
なぜ自衛隊でセクハラ被害が発生するのか
元警察官の立場から言うと、完全に「男性社会」の組織だからです。
人数で言うと、五ノ井さんのいた中隊では隊員58人中で女性が5人。
警察組織でも10%に満たない人数しか女性がいませんでした。
そもそも力で敵わない女性が人数でも敵わなければ男性に勝てるはずがありません。
女性が出世するためには女を武器にしないとと言われたこともありますから、それを容認している女性も少なからずいます。
そしてもう一つ、組織が閉鎖的すぎるからです。
例えば警察学校は半年間寮生活を強いられ、その空間から抜け出すことはできません。
この閉鎖空間は正直感覚をおかしくします。
良く言えば団結力が高まったり、仲間意識が芽生える。
悪く言えば、その中の物差しでしかはかれなかたっり、上司の命令は絶対でそれに背く空気も助けを求める先もなかったりというような感覚です。
五ノ井さんも訓練中の山のテントの中や、隊員しかいない閉鎖空間の中で被害に遭われています。
一般人が立ち入れない空間だから、隊員たちは調子に乗ってハメを外すのでしょう。
組織のあり方の見直し、そして何と言っても五ノ井さんにセクハラをした加害者たちの謝罪と改心を望みますね。
追記:自衛隊が性被害認め謝罪
一連の運動の結果、2022年9月29日、自衛隊側が一転して性被害事実を認め謝罪しました。
男性隊員らはこれまでの調査の中で行為を否定していましたが、最近になって複数の隊員が一転して加害を認めたようです。
五ノ井さんの他にも被害にあった女性隊員がいるということでこちらも事実関係が確認されたとのことです。
五ノ井さんの勇気ある訴えが実を結び本当に良かったです。
もちろんだからと言って五ノ井さんが受けた心の傷は癒やされたわけではありませんが、少しでも五ノ井さんの心が救われたらいいなと思いました。
追記2:直接関与5人を懲戒免職
2022年12月15日、
五ノ井さんへの性暴力に直接関与していた
20代〜40代の1等陸曹~3等陸曹の計5人
が懲戒免職となりました。
また、五ノ井さんからの被害申告を上官に報告しなかった
30代の中隊長=1等陸
停職6カ月となりました。
懲戒処分の対象人数は計6人でした。