すずめの戸締まりの重要キャラクターネコのダイジン。
要石としての役割から逃げ、草太をイスの姿にし、
すずめたちから逃げ回っていましたが、何が目的だったのでしょうか。
一見嫌なキャラクターに見えますが、実は切ない理由があったのです。
本記事はネタバレを含みますのでご注意ください!
要石ダイジンとは?
白猫で右目の周りが黒い模様の可愛らしいネコ「ダイジン」。
すずめが暮らす宮崎県の後ろ戸を抑える要石(かなめいし)でしたが、
すずめが誤って引き抜いてしまい封印が解け、
ネコの姿になって逃げ出してしまいました。
見た目も声も可愛く人気のキャラクターです。
声優は、テアトルアカデミー所属の子役山根あんさん(8歳)です。
#ダイジン 役の山根あんです!
— やまね あん (@__ann_chan__) November 20, 2022
よかったら、メッセージ
聞いてください🐈️💕#すずめの戸締まり #新海誠監督 #ダイジンといっしょ #山根あん
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後ろ戸とは?↓
可愛い見た目に反して、
物語では一見悪役的ポジションに見える重要キャラです。
ダイジンの目的はなんだったの?
ダイジンは、すずめによって自由になった後、
すずめの家を訪れご飯を与えられ、すずめのことを気に入ります。
そして、草太をイスにしてしまい、逃走。
大臣が行くところ行くところで後ろ戸が開き、
すずめたちはダイジンを追いかけては後ろ戸を閉じていくことになります。
ダイジンの目的がわからず振り回されるのですが、
なぜダイジンはそんなことをしたのでしょうか。
ダイジンの目的を紐解いていきます!
目的1要石の役割に疲れた
ダイジンは草太をイスの姿に変えましたが、それは見た目だけではなく、実は要石としての役割も押し付けたものだったのです。
長年自分が努めてきた要石の役割を草太に押し付け、草太を次の要石にするためだと考えられます。
これまで当たり前に担っていた責任から解放され自由を味わい、戻りたくなくなったのでしょう。
最終的には、すずめのために要石に戻ったわけですが。
よくあるどこかの国のお姫様が普通の女の子になってみたいとお城を抜けるあの感じでしょうね。
だからと言って完全に責任を放棄して逃げられるわけではないので1日だけでもという刹那の願いという感じですね。
目的2神様の気まぐれ
ダイジンは災いを封じ込める神様のような存在。
神様は気まぐれな存在です。
物語の中でも、草太が
「神の本質は気まぐれ」
と説明しています。
神は人を助ける時もあれば、助けてくれない時もあります。
それは神が気まぐれだからで、ダイジンも気まぐれで逃げ回ったり、近づいたり、助けたり、助けなかったりしていたのでしょう。
東京で大地震が起きそうになった時もダイジンは笑って
「人がたくさんしぬね」
と無慈悲な発言をしています。
味方か敵かわからない不安定な存在です。
ネコの気まぐれさもあるかもしれませんね。
目的3後ろ戸を閉じさせるため
すずめたちは、ダイジンを追って宮崎から東京まで移動しながらその途中で開く後ろ戸を閉じていきます。
最初は、ダイジンが後ろ戸を開いていると勘違いしていましたが、物語の後半ですずめはダイジンが
すずめたちを後ろ戸に誘導して災いが起きないように閉じさせていた
とわかります。
自由の身になりながらもやはり要石としての役割は捨てきれない、人を災いから守りたいという気持ちまでは捨てきれなかったのかもしれません。
東京で巨大ミミズが落下しそうになった時も「草太を要石として刺さないと・・・」とすずめに災いを防ぐよう促していました。
草太への思いやりは感じられませんが、大勢の人を守ためには必要なことだとすずめを誘導しているように感じられました。
目的4大好きなすずめと一緒にいるため
ダイジンは、最初にすずめの家に来た時、痩せてみすぼらしい容姿でした。
しかし、すずめにご飯を与えられ、
「うちの子になる?」
と言われると、突然綺麗な毛並みになり目を輝かせて
「すずめ やさしい すき」
とすずめのうちの子になるといいます。
そして、草太を邪魔だと言ってイスの姿に変えてしまいました。
序盤は、そこまでダイジンに嫌な感情は持っていなかったすずめですが、物語後半で、東京の地震を防ぐために草太を要石として刺してしまった時に変わってしまいます。
この時すでに草太はすずめにとって大切な愛する存在になっていました。
愛する人を自らの手で失わせたダイジンのことを嫌いになり、そこからはダイジンを
「おまえ」
呼ばわりします笑
2度と姿を見せるなとすずめに嫌われてしまったダイジンはまた元のみすぼらしい姿に戻ってしまいました。
つまり、愛されると元気な姿になり、愛されなくなるとみすぼらしい姿に戻ってしまうのです。
これまで要石として人のためにミミズを抑える役割を担ってきたのは人を愛する神様だからです。
とはいえ、その存在は知られず、人から愛される喜びも知らなかったダイジンはすずめに初めて愛され、その喜びを知ったのでしょうね。
映画のラストシーンでは、
「ダイジンはね すずめの子にはなれなかった」
「すずめのてで もとにもどして」
と再び要石に戻ることを決意します。
すずめに愛されることはできないのだと、すずめの愛する存在は自分じゃなくて草太なのだと気付いたのでしょうね。
このシーンがとても切ないですね!
サダイジンが憑依した理由は?
すずめとダイジンの関係の中でもう一つ気になるのが、サダイジンの存在です。
東北地方へのドライブ途中で左大臣が現れ、ダイジンは役割を放棄したことを怒られると思ったのか逃げようとしますが、一回り以上も大きな左大臣にすぐに捕まってしまいます。
「サダイジン」#すずめの戸締り #ダイジンといっしょ #イラスト pic.twitter.com/OZH9Gns7gy
— ユダ¿? (@yuda_00x0_) November 8, 2022
おそらく先輩の要石なのでしょうが、左大臣はダイジンにだけ説教をしたわけではないようです。
というのも、左大臣が環さん(すずめのおば)に憑依し、すずめとの微妙な義親子関係で心の奥底に思っている負の感情を吐き出させました。
なぜこのようなことをしたのかというと、すずめが無責任にダイジンに
「うちの子になる?」
と愛を与えておきながら、
「大嫌い」
と簡単に見捨ててしまったことに怒っていたからではないでしょうか。
この言葉は、環さんがすずめを引き取ったときにかけた言葉と重なります。
環さんは、結婚もせず、すずめのためにこれまでの時間を費やしてきました。
それが、うちの子になる?という言葉の重みであり、愛するということなのだと、すずめに教えたかったのではないかと思います。
その後、環さんが言った言葉がすごく素敵なのですが、
「そんなこと思っていないよ」
と取り繕うのではなく、
「それだけじゃないよ」
と、本音を認めた上で、それ以上に積み重ねた二人の大切な時間がちゃんとあるんだという点がなんともリアリティがあっていいなと思いました。
ダイジンはすずめ自身
そして、このことから考えられるすずめの戸締まりの裏設定として「継母」との関係、
「鈴芽と環の物語」があるのではないでしょうか。
つまり、ダイジンは幼い頃のすずめと重なるのです。
ダイジンはすずめから大切なもの(草太)を奪ってしまいますが、すずめも環さんが恋したり、結婚したりする幸せを奪ってしまっていたのです。
もちろんそれはすずめのせいではありませんが、その無邪気さが余計に環さんを苦しめ、心の奥底に負の感情を溜め込ませていたのでしょう。
ダイジンも同じく無邪気にすずめから大切なものを奪います。
ダイジンは、すずめの幼少期であり、すずめはダイジンに振り回されることによって環の気持ちを自ら体験することになるのです。
そう考えると、ダイジンの行動が理解できますし、そこに明確な意図はなかった(無邪気は時に人を苦しめる)こともわかりますね。
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